誰にも言われなければ「何もなかったことになる」──タクシー現場のリアルと経営の葛藤

【現場からの本音】
「誰にも言われなければ、何も起こらない」という怖さ
最近、ある乗務員によるトラブルが発生しました。
問題の程度は軽くはありません。しかし…これがどこに報告されるかによって、その後の対応は大きく変わってくるのです。
たとえば、
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運輸支局に直接苦情が入れば、これは“かなり大きな事案”になります。
内容によっては注意・指導だけで済まないことも。
最悪の場合は監査が入り、行政処分となる可能性も否定できません。 -
会社宛てのクレームであれば、映像を確認し、状況を精査した上で、
社内で厳正な処分を行います。 -
乗務員本人からの申告であれば、事情を聞きながら対応を検討。
多くの場合は注意喚起と指導という形になります。
しかし一方で──
「誰にも何も言われなかった場合」
つまり、見過ごされた場合は、“何もなかった”ことになるのです。
……これは、非常に大きな問題だと考えています。
お客様からのクレームは、正直、気持ちの良いものではありません。
でも、問題のある行動に対して、会社として「対処できるチャンス」でもあるのです。
だからこそ、「伝えていただけること」のありがたさも感じています。
【もうひとつの悩み】
スマホ・タブレット操作の壁
業務で使用するアプリやタブレット端末。
最近では、若い世代の乗務員であれば、説明なしでもすぐに使いこなしてくれます。
そして1度教えれば、たいていはスッと覚えてくれる。
でも、年齢が上がるほど、ここに苦労が生まれてきます。
もちろん、それは自然なことで、
「私自身もいずれはそうなる」と思えば、責める気持ちはありません。
明日は我が身。
……とはいえ、同じことを何度も繰り返し教えるにも限度はあります。
「冷たいようだけれど、これも現実」と割り切らなければいけない場面もある。
これも、経営側の悩みのひとつです。
✅ 最後に
問題が表面化するからこそ、改善ができる。
問題が見えないままだと、放置されたままになってしまう。
だからこそ、
見えた問題にはきちんと向き合い、対応していく姿勢を大切にしたい。
そう思っています。